^u^の備忘録

備忘録 印象深い日々の出来事や、気付き等を記す

本の感想「殺戮にいたる病」

 

  • 概要

猟奇的殺人犯を追いかける、退職した元警部と殺人犯に殺された被害者の妹を中心としたサスペンス小説。

この小説を検索すると「イニシエーションラブ」がサジェスチョンとして表示されるのだが、最後まで読むとなるほどそういうことか…と納得する締めくくりである。

 

  • 感想

残忍な犯行や、捜査のドキドキハラハラ感は面白いものの、猟奇的な犯人に全く感情移入ができず、読後の充実感があまり感じられなかった。

というのも、犯人は性的異常者であるのだが、彼の抱える、性的異常者へのきっかけとなった幼少期のコンプレックスに全く共感できなかった。

大抵のサスペンス小説では、犯人の異常さにドン引きつつも、どこか自分の抱える負の感情とオーバーラップする部分があって、犯人に対して同情や共感をする部分があるものだが、この小説では全く無かった。

恐らく、共感しなかった原因の一つに被害者が(ほぼ)すべて女性で、彼女たちが殺害後凌辱されるのだが、男性が持つ女性への征服欲のような欲望が、女性の私は理解できないことが挙げられるとは思うのだが…

Kindle版で500円出したのはちょっと勿体無かった。恋愛ものとサスペンスものは漫画で読む方が楽しいかな。

本の感想「ゴールデンスランバー」

●概要
ケネディ暗殺事件になぞらえて描かれた小説。平凡な生活を送っていた主人公・青柳が、日本の首相暗殺事件の容疑者として、突如警察から追われることになる。
身に覚えのない疑いをかけられ、殺さんばかりの勢いで迫って来る警察組織に対して青柳は身の潔白を示そうと模索する。

●感想
伊坂幸太郎の本はいくつか読んできたけど、これも安定して面白かった。伏線の回収が見事で、読後のスッキリ感が気持ちいい。
主要登場人物たちは、不器用で真っ直ぐ、情に厚い性格の者が多く、読み進めるうちに彼らを応援せずにはいられなくなる。

サラッと読める小説なので暇つぶしや通勤に丁度よいなと言ったところ。
最近軽い本ばかり読んでるので、そろそろ頭使って読む本も手に取らないと。

本の感想「LOVE理論」

●概要
水野敬也著 モテない男性向け恋愛マニュアル本。
著者の経験に裏打ちされたトンデモ極論を柱にして、ギャグ要素満載ながら、実用的なモテテクを紹介している。

●感想
夢をかなえるゾウを中学生の時に読んでから、著者の水野さんに好感を持っており、中でも男性向け恋愛マニュアル本には特に興味があったので買ってみた一冊。1年前に買って、今回2周目。
女の私が読んでも、この本に書かれてることを実践してる男性はモテるだろうな〜と感じられるので、周りの偏屈な非モテ男たちに推薦してみようかなと考えている。
先天的なモテ(顔面偏差値や生まれもっての勝組オーラ)を持たない男が、後天的にモテを獲得しようとするならば、非常に参考になると思う。

また、この著者のトバし方がものすごいため、一体中高生活でどんな黒歴史を歩んできたのか気になり経歴を調べてみたら、なんと東海高校出身だった。
周りの東海高校OBの振り切れぶりを見てきた経験から、この学校で青春を過ごすとこうなるのだな…とものすごい納得した。

女が読んでも、男が女にアプローチする心積もりを学べる参考書として役立つので、今後も笑いたくなった時には読み返そう。

本の感想「帰ってきたヒトラー」

○概要

現代にタイムスリップしたナチス指導者ヒトラーが繰り広げる、コメディ風刺物語。

敗戦し、自殺間際の彼は、ある日気が付くと2011年のベルリンにタイムスリップしてしまった。そしてヒトラーの物真似芸人と勘違いされ、お笑い番組に出演する。ヒトラーは大まじめにナチ主義を主張するのだが、視聴者はそれをアンチ・ナチ主義の下の皮肉ギャグとして受け取り、それが大ウケする。カリスマ性のある彼に大衆は魅了されていき、ヒトラー現代社会でもスターへと躍進していく。

 

○感想

これはかなり面白かった。

世界史はあまり詳しくないために、作中のナチスの幹部陣の名前等がすんなり入ってこなかった点は煩わしかったものの、時に笑いながら、時に考えさせられながら、サクサク読めた。

ヒトラーはコロホーストに代表される「冷血」「極悪」といったイメージだが、そんな残忍な彼が何故ドイツ国民の人気を博し、選挙で選出されたのか。そして、何故あんな殺戮政策をとったのか。それらの疑問に対してこの小説は、ヒトラーの人間臭く魅力的な内面を描くことで、一つの解釈を与えてくれる。

高校生くらいの知識があれば十分楽しめる内容だと思う。

 

これまで歴史の勉強や本を読んできた中で常々感じてきたのは、「勝者が正義」ということで、ヒトラーにおいても該当するのだなと感じた。

というのも、歴史は勝者によって紡がれるものだから、敗者のドイツ・日本・イタリアたちの指導者は悪者として記される。

ヒトラーユダヤ人を虐殺することが目的だったのではなく、戦争で勝つための戦略の手段だったと思う。(これまでの拙い知識で判断しただけで本当のところは分からないが)

そしてホロコーストの残忍さは想像もできないくらい酷いものだと思うが、ヒトラーだけでなく世界の至る箇所で弱者への圧政は実施されており、例えばアメリカにおける黒人奴隷や先住民への侵略や、中国における数々の政権交代で犠牲となった一般大衆等、枚挙にいとまがない。

それなのに、何故ここまで言われているのかというと、その理由は戦争からまだ数十年しか経っていないことと、もう一つ、やはりドイツが敗けたことが大きいんだろうなと感じた。

 

本の感想「そして誰もいなくなった」

○概要

アガサ・クリスティ著のミステリー小説。無人島に集められた10名が殺人劇に巻き込まれ、童話になぞらえながら、一人ずつ命を失っていく。この10名の共通点は、過去に法では裁かれない殺人を起こしたことであるというが…

 

○感想

数時間でサクサク読める小説だった。最後のオチは全く予想外で面白かった。

ただ、金田一少年の事件簿でこんな事件を読んだことあるな~という感じであまり新鮮さは無かった。

本の感想「新世界より」

 ○概要

貴志祐介

1,000年後の未来の地球を描いたSF小説。人々は呪力と呼ばれる超能力を保持し、その呪力を日々の生活や仕事に活用し、超能力と密着した生活を送っている。この世界の生物の中には1,000年後とは考えられないハイスピードで進化している生物が多く、中でも化けネズミと呼ばれる種は、ハダカデバネズミが人間ほどの大きさに巨大化・高度な知性を持っており、人間の召使として清掃等の労働に従事するほどである。

この世界は非常に平和で、人々の争いは発生せずに、教育レベルも高く、皆が幸せに暮らしている。物語の主人公・早季たちも平凡な子供として暮らしていたが、ある課外学習がきっかけで、偶然にこの世界がいかに不安定で残酷であるか、その一端を知ってしまう。

やがて引き起こされる世界の崩壊に、早季たちは子供ながら立ち向かってゆく…

 

○感想

かなり長い本で、文庫本で上中下の三部作。ハリーポッター1巻分くらい。普段SFは全く読まないが、あまりに面白くて一気読みしてしまった。戦闘シーンなどでは心臓がドキドキしたし、その日夜道を歩くのが非常に怖くなってしまった。それくらいハマった。著者の貴志さんはホラー小説家のようで、読者のハラハラドキドキを煽るのはお手の物なのだと思う。

SFといっても、宇宙船や地球外の惑星が出てくるわけではなく、まるでドラクエのモンスターのようにおかしな生物がたくさん出てくるくらいなので、ガンダム宇宙戦艦ヤマトを読んだこと無い私でもすんなり読み進めることができた。

また、物語の中核テーマとして、独裁主義と民主主義、自由と束縛、正義と悪等、今の私たちが暮らす社会が抱える倫理問題を射影し、読者に問いを投げかけるので、単純な娯楽小説よりも読んだ後の充実感が高い。

そして伏線の用意・回収が分かりやすくて読みやすいところもお気に入り。ささっと読み進めても十分話の展開についていけるし、小学生でもこの物語の魅力を味わえると思う。

ただ少々長すぎるというか、伏線っぽく書かれているのに結局回収されないままのエピソードがあったり、世界の設定の説明で冗長な部分があったりして、もう少し短くできたのではないかなと思う点はある。

全体としては本当に面白いので周りにぜひ薦めたいい小説。

本の感想「毎日が日曜日」

●概要
城山三郎の本三冊目はこれ。高度経済成長の立役者として、戦後の日本復興の大きな力となった綜合商社マンの現実を描いた作品。
彼らがどう働き、どう生きるか?1人の主人公を中心に、様々な商社マンたちの働く姿を映し出している。

●感想
ジムのインターバルにちょこちょこ読む本にしていたため、毎度前回までの話の流れを少し忘れかけていたこともあり、あまり面白いとは思わなかった。また、本全体がちょっと長い。
登場人物の細やかな心理描写が、まだ働いたことのない私には共感を呼び起こすものではなく、今一ピンと来なかった。
商社で働く人にとっては、こうゆう本を読んでおけば、上司の昔の武勇伝話にノリやすくなりそうなので、彼らにオススメしてみようかなと思った。
私には早すぎた本でした。