^u^の備忘録

備忘録 印象深い日々の出来事や、気付き等を記す

本の感想「毎日が日曜日」

●概要
城山三郎の本三冊目はこれ。高度経済成長の立役者として、戦後の日本復興の大きな力となった綜合商社マンの現実を描いた作品。
彼らがどう働き、どう生きるか?1人の主人公を中心に、様々な商社マンたちの働く姿を映し出している。

●感想
ジムのインターバルにちょこちょこ読む本にしていたため、毎度前回までの話の流れを少し忘れかけていたこともあり、あまり面白いとは思わなかった。また、本全体がちょっと長い。
登場人物の細やかな心理描写が、まだ働いたことのない私には共感を呼び起こすものではなく、今一ピンと来なかった。
商社で働く人にとっては、こうゆう本を読んでおけば、上司の昔の武勇伝話にノリやすくなりそうなので、彼らにオススメしてみようかなと思った。
私には早すぎた本でした。

Kさんとの話「何で勉強するのか」

●はじめに
学部時代より早6年間、部活のご縁で仲良くさせていただいているKさんと、おそらく学生生活としては最後となるお食事をしてきた。60歳前後のお年に関わらずスタイリッシュで、いつも楽しませてくれるが、この日の話題は「何で勉強するのか」だった。
わたし自身「人生一生勉強」と思っており、この話題についての関心は高く、Kさんとのお話がとても楽しかったので、後々振り返って過去の自分を味わい楽しむための記録として書いておく。

●この話題がのぼった背景 
Kさんは現在仕事の一つとして高校の評議員のようなものをしており、第三者の立場から公立高校を評価する活動をしている。
その活動の中で教員に「(生徒が)勉強する目的は何ですか?」と問うと答えを持たない人が多いこと、更に悪い場合には、あっけらかんと「大学に進学するため」と答える人さえいることに危機感を感じているとのこと。
というのも、Kさんは勉強する目的は大学進学という目先の目標では無く、生きる力を付けるためと考えており、勉強の本質を考えない教員が指導していては、その目的を達成することはできないのではないか?という理由。

●Kさんの意見
このKさんが言う、勉強することで身に付く生きる力とは、具体的には以下3つがあげられる。
・論理的思考力
・教養
・問題解決能力(分析力、計画力、実行力)
もちろん高校の勉強は実学としては活きない科目もあるが、テストや偏差値という全国規模の客観的かつ定量的な指標の上で、どうすれば改善できるかを考え現状と目標の差を分析し、その差を埋める対策を計画し、実践するこの取り組みは、仕事や人生において求められるサイクルと同様であり生きる力として役に立つ。
Kさんに言わせれば「勉強なんて意味無いよ」「大学の偏差値なんて頭の良さに関係無いよ」なんて、勉強したことが無い者が言う馬鹿らしい言葉である。完全に頭の良さと偏差値が比例する訳では無いが、強い相関関係があるのは歴然とした事実である。
という少々過激なものだった。
(もちろん勉強以外の活動でも、スポーツ等、先述したサイクルを回す活動はたくさんあり、それらの活動経験も非常に重要なのは前提として)

●わたしの感想
Kさんの意見を聞きながら概ね共感した。
私の考えでは勉強する目的は、今後自分の人生の責任を自分自身で持つことになるが、その時に迫られるいくつもの重要な選択において、自分にとっての最適解を見つけるために勉強する必要があると認識している。
Kさんのおっしゃった知識・教養や論理的思考力の鍛錬を積むことで、その最適解を見極められるようになる。一方で勉強をしない人は、選択時に参考にする基準や考え方が分からずに、「なんとなく」や「気持ちいいほう」というぼんやりした選択をしてしまうことになる。
実際に、自分の経験においても選択を後悔した時というのは十分な情報収集や検討していなかったことが原因だったし
自分の周りを見ていても、浅はかな行動をとる人は勉強する姿勢の無い人ばかりだなと感じるから。

ただ、だからといって、勉強の目的が生きる力をつけるため何ていう重々しいもののみであったら、それはそれで勉強がしんどくなってしまうし、抽象的なものなので成長の実感を感じる機会が少なく、生きる力を付けたいと高い意欲を持続させることは難しい。
なので、普段は単純に新しいことを知る楽しさや問題を解けた時の嬉しさ、勉強している自分カッコいい、といった内発的動機を主体に勉強を続け、時々、何気無い会話や友達とのアツい議論の中で、教養や論理的思考力の高まりに気付かされる。というのがバランスが良いと思う。
最近は良い年で社会人となる間近なのもあり、よく結婚後や子供を授かった時を想像するのだが、子育ての際にも、子どもが勉強の楽しさを味わう環境整備を意識してつくっていきたいと思う。

なんにせよ、事業家兼研究者のKさんから発せられる言葉には説得力があり、改めて勉強は大事だなあと感じ、今後も謙虚な姿勢を持ち、積極的に様々なことに関心を持って勉強し続けねばならないと気が引き締まった良い機会だった。

本の感想「オー・マイ・ガアッ!」

●本のあらすじ
浅田次郎著。ラスベガスのカジノを舞台に繰り広げられるドタバタ痛快ギャグ兼異文化交流兼ヒューマンドラマ。
3人の主人公を中心に物語は繰り広げられ、皆が人生に大いなる挫折をし、絶望を目の前にしている状況の中、ラスベガスで「人生を変えたい」と夢を見る。彼らの人生は、たまたま同じスロット台に隣同士で並んだことから交差し始め、やがて物語はラスベガス、ひいてはアメリカ国防長官やアラブ石油王まで巻き込む一大事と進展する。

●本の感想
この本は非常に面白く、ゆっくり読み進めるつもりが一気に最後まで読んでしまった。中島らもに続く大好きな作者になりそう。
ただ読み終えて少し日にちが経ってしまい、記憶が曖昧になってきてしまった。今思い出せる中でお気に入りな点は

1) 作者の好みや主張が存分に全面に出ていること
私は作中に作者の人間臭さや意見が感じられる作品が好きなのだが、この本はドップリと浅田さんのラスベガスへの愛が溢れている。浅田さん自身、自分は旅行代理店の回し者ではないが…と断りを入れているほど、ラスベガスがどれほど人間関係に疲弊した日本人にとって魅力的な場所であり、かつそれほど高額の値段を使わず、短時間で楽しめるのかを語っている。この本を読了してラスベガスに興味を持たないひとは間違いなくいない。実際私もすぐに周りの人にラスベガスの素晴らしさを語り始めている。

2) 物語の構成・ラスベガス文化の描写の質の高さ
伏線の回収やギャグセンスの高さ等は素晴らしく、加えてラスベガスの文化が非常にうまく描かれている。
ラスベガスがつくられた経緯や、経済の生態系解説、サービス精神などニュースや観光本では絶対に分からない、ラスベガスホリックな作者だからこそ描けるものが満載である。
特にお気に入りの文書は、これはラスベガスに限った話ではなくアメリカ全土に言える話のようだが、「アメリカには勝ちしかない。勝つか、それ以外だ。」この一節。
むやみに勝ち負けを決める必要なんか無いんじゃない?という意見が市民権を得ている日本においては全く考えられない発想だなと驚いた。
と同時に自分の価値観はやはり日本国内でガラパゴス化していることへの悲しさに浸り、もっと世界を知りたいと切に思った。今年から社会人になるが国外への出張・転勤は意欲的に所望しなければ。

何はともあれ、総じて面白い本だった。
そんなに真剣にならなくても、概ねギャグ小説の心積もりで読み進められるので、暇潰しとしてサクッと読むのに最適なkindleで買って正解だった。
(私の稚拙な頭では、城山三郎などの重い内容や、哲学などの難しい内容の本はペーパーブックで読まないと、頭に入らないため)

映画の感想「The Blind Side 幸せの隠れ場所」

※追記 2/9

このマイケル・オアー、2016年のスーパーボウルパンサーズのLTとして出場。アメリカンドリームをかなえ、今なお世界一流のプレイヤーとして活躍をし続けるマイケル・オアー、カッコ良すぎる。


●あらすじ

実在するマイケル・オアーというNFL選手の高校生活を描いたノンフィクション。

彼の出生は黒人スラム街。母親は薬中だったため引き離され、父親は誰かも分からない。

高校に入学した彼は勉強についていけず、また一緒に住んでいた家族からも迷惑がられ、どこにも居場所が見つけられずにいた。

とうとう家出をした彼にたまたま声をかけたのが、サンドラ・ブロック。彼女はマイケルの身の上を知り、養子として迎え入れることにした。

初めて居場所をみつけ、愛すべき家族を持つことができたマイケルは、アメフト選手の才能が開花し部活のチームで大活躍。勉強も頑張って、最終的にはテネシー大学に合格しアメフト奨学金を勝ち取った。

劇中ではここまでしか描かれていないけれど、後に彼は大学でも活躍しNFLレイブンズに指名され、プロ選手となったのだった。

 

●感想

今までに5回は観たこの映画。何度観ても泣ける。アメフト好きなら間違いなく感動するはず!

 

アメフト好きとして、私のお気に入りな点は、マイケルのポジションが題名でもあるブラインド・サイドであるところ。

※※※アメフトを全く知らない人には意味不明な文章が以下に続きます※※※

ブラインドサイドはOL(=5人でQBの前に並び、プレー開始と同時に突っ込んでくる相手ディフェンスから味方を守る壁になるポジション)の中の1つなのだが、そのOLは普段はスポットが当たりにくく、目立たない。

しかし、全ての攻撃はOLから始まる。QBがパスを投げられるのも、RBがボールを持って走れるのも、WRがパスをキャッチできるのも、全てはOLたちが死ぬ気でブロックしているから。そんな超超超重要なポジションなのだ。

でもナイスプレイが出た時に注目されるのはスキルポジションばかりで、ナイスブロックをしても誉められる機会は少ない。OLが相手ディフェンスを食い止めたからこそQBが落ち着いてパスを投げれたのに、ほとんどの声援は、WRへの「ナイスキャッチ」か、QBへの「ナイスパス」。むしろ相手ディフェンスにロスタックルをかまされたりしたら、OL何やってるんだと非難される辛い役回り

そして、OLは一見ただぶつかっているだけの様に見えるけれど、単純なパワー勝負ではなくて、戦略・技術・チームプレイ等が噛み合わさらないと相手DLに勝てない非常に難しいポジション。

そんな、他のどのポジションよりも、個を殺しチームに捧ぐ姿を見せてくれるOLが大好き。

 

これからも、もっとOLにスポットがあてられる映画やドラマが出てきたらいいなと思う。そしてアメフトがもっと日本で人気になってほしい。

本の感想「アンネの日記」

○概要

オランダに住むユダヤ人少女アンネが綴った日記。

wwⅡの戦禍をこうむり、ユダヤ人政策のもと家族で身を隠した日々が綴られている。

戦争集結間近に結局アンネたち一家は拘束されてしまい、アンネの父以外は収容所で殺されてしまう。

この本は戦勝終了後、生き残ったアンネの父が娘の遺品を世に発表したものである。

 

○感想

教養として読んどかないと恥ずかしいかな、と思って手にとった本。ある程度ユダヤ人の歴史や特徴については、事前知識があったので、読み進めながら自分の持っている知識と照合することが多かった。

あくまで日記をそのまま本として出版したものなので、「歴史を学ぶ」という意味では冗長な部分が多いけれど、その冗長さも含めるからこそ、当時の社会情勢や人々の考え方等をリアルに感じられるのだと思う。

教養として読んでおいて正解だった。

本の感想「私の嫌いな10の言葉」

中島義道

●概略

ドイツ哲学者である著者が、日本社会で圧倒的市民権を得ている10の言葉について、いかにその言葉を嫌っているかを一方的に語る本。

(以下本中で批判される言葉たち)

「相手の気持ちを考えろよ! 人間はひとりで生きてるんじゃない。こんな大事なことは、おまえのためを思って言ってるんだ。依怙地にならないで素直になれよ。相手に一度頭を下げれば済むじゃないか! 弁解するな。おまえが言い訳すると、みんなが厭な気分になるぞ」。

 

●感想

著者流のトンデモ理論(屁理屈)で、誰もが一日一度は言ったり聞いたりしているであろう言葉を徹底的に批判していく様が痛快。

この痛快さには2種類あって、1種類目は著者への共感。

特に小中高と接してきた先生方に感じてきた彼らの横暴さ、不遜な態度をいみじくも指摘しており、「よくぞ言ってくれた!」とスカッとした。

2種類目は、一方で私は大学の部活においては、正にこの本であげられていた言葉を用いて、暴力的に主張を通そうとしたり、他者を動かそうとしたりしていたため、「おっしゃる通りでございます…」と胸にグサグサ槍を刺された。

 

また、日本社会の事なかれ主義が「最大多数の最大幸福」的考えの下で機能する一方で、どれだけの個を殺しているのか。

このことを、私は公立小中高生活で(特に管理教育のメッカと言われる地域だから尚更)強く憤っていたけれど、もはや遠い記憶。中学くらいまでは憤然と怒っていけれど、だんだん年をとるにつれて、その憤りにかけるエネルギーを別のところで昇華した方がいいやと考え、事なかれ主義構成員の一員として、うまく振る舞うようになっていった。

その点中島さんは、孫がいてもおかしくない年齢で未だにここまで憤っているなんて、なんてエネルギッシュな方なんだと感嘆する。友達にいたらめちゃめちゃ疲れそうだけど…

 

丁度、家庭教師のバイトで中3の生徒から、受験校選択をめぐる先生とのやり取りを聞いて、自分の思春期の嫌な先生との記憶引き出されたりして、自分の子供が生まれたときは自主性を重んじる自由な校風の学校を選びたいなと思った。

 

本の感想「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」

・あらすじ

1960年、ソ連プラハのインターナショナル小学校に通う筆者マリの同級生、3人の学生時代と筆者が成人した後に彼女たちの現在に会いに行った時の描写がされるエッセイである。

3人の同級生はギリシャ人のリッツァ、ルーマニア人のアーニャ、ユーゴスラビア人のヤスミンカと出身も思想も様々なのだが、皆親が共産主義の活動家であり、特権階級もしくはそれに付随する上流階級の家柄ということは共通している。

彼女たちが、ソ連vs中国や、欧州内の対立、またボスニア・ヘルツェゴビナの紛争に代表される民族戦争等に巻き込まれる中で、どのように生きてきたのか。マリは彼女たちを人を伝って探しだし、積もりに積もった話をする中で感じ取っていく。彼女たちの生き様は、マリにとって受け入れ難いものもあり、一方で深く同情し悲しみにくれるものもある。

例えばアーニャは国を捨て、イギリスの階級社会に溶け込んだ(溶け込もうとしていた)が、マリにとっては、何故ルーマニアの特権階級の特権を享受し続け、そのおかげでイギリスに渡ることのできた身にも関わらず、祖国ルーマニアで未だ生活に貧窮する一般庶民たちに思いを馳せないのか、分からず反感を覚える姿が描かれている。また、そのような社会を主導する立場の特権階級のみが、社会と隔絶した裕福な暮らしをしているルーマニア共産主義とは、如何なものか?悩み、その疑問を当人に伝えるも、アーニャと分かり合うことはできなかった。

一方で、ヤスミンカは紛争の真っ只中で生活し、人種差別によって職も変えざる得ない状況に置かれている。常に死の恐怖と隣合わせになりながら、家族との慎ましい生活に幸せを見出そうとしている。学生時代の聡明でイタズラっぽい瞳をしていたヤスミンカと今のヤスミンカの違いに打ちのめされるマリが描かれる。

 

・感想

ざっと読んでしまったので、この本は欧州に旅行行った時にでも、もう一度読み返そうと思う。

特に印象に残っている点は、彼女たちの母国への愛・執着である。

ギリシャがいかに美しい国なのか、一度もギリシャの空を見たことがないにも関わらず熱く語るリッツア。

「純粋なルーマニア人」であることに強いこだわりを見せるアーニャ。

学生時代からユーゴスラビア出身であることから周りの共産主義者から差別を受け、そのために校長と対立して自主退学してしまうヤスミンカ。

何故ここまで彼女たちの気持ちは強いのか、自分なりに考えた根拠は以下の通り。

母国で暮らしておらず、更にインターナショナル小学校で様々な国籍の人と暮らす、という環境…自分のアイディンティティを確立するために、母国への関心が高まるのは必然?

共産主義と資本主義が対立する社会情勢…日本は資本主義国家であり、基本的には日本と仲の良い国も資本主義なので、あまり共産主義思想に触れることがない。しかし冷戦終了までは共産主義と資本主義で世界の覇権争いが繰り広げられており、自分たちの立場について、「共産主義とは?良いところは?悪いところは?その上で私達の親や国が共産主義を肯定する根拠は??」等、考える機会が多かったのではないか?

・高度な教育を受けていたから…生徒たちは皆政治家や大使等の子息であり、先生も優秀な人達が教鞭を執っている。当然、教育のレベルも高度である。そういった高い知識・教養を持つ人間たちで構成される環境だったからこそ、小学生にも関わらず、自国への愛着心という高度な感情が醸成されたのではないか。

 

とつらつらと書いたけれど、実際に現地に行って、そこの人や空気に触れてみないと本当のところは分からない。こういう本を読むと、海外に旅行したくなるし、旅行に行った時の気付きが「楽しい」「綺麗」だけでなくて、もっともっと増えると思う。