本の感想「毎日が日曜日」
Kさんとの話「何で勉強するのか」
本の感想「オー・マイ・ガアッ!」
映画の感想「The Blind Side 幸せの隠れ場所」
※追記 2/9
このマイケル・オアー、2016年のスーパーボウルにパンサーズのLTとして出場。アメリカンドリームをかなえ、今なお世界一流のプレイヤーとして活躍をし続けるマイケル・オアー、カッコ良すぎる。
●あらすじ
実在するマイケル・オアーというNFL選手の高校生活を描いたノンフィクション。
彼の出生は黒人スラム街。母親は薬中だったため引き離され、父親は誰かも分からない。
高校に入学した彼は勉強についていけず、また一緒に住んでいた家族からも迷惑がられ、どこにも居場所が見つけられずにいた。
とうとう家出をした彼にたまたま声をかけたのが、サンドラ・ブロック。彼女はマイケルの身の上を知り、養子として迎え入れることにした。
初めて居場所をみつけ、愛すべき家族を持つことができたマイケルは、アメフト選手の才能が開花し部活のチームで大活躍。勉強も頑張って、最終的にはテネシー大学に合格しアメフト奨学金を勝ち取った。
劇中ではここまでしか描かれていないけれど、後に彼は大学でも活躍しNFLレイブンズに指名され、プロ選手となったのだった。
●感想
今までに5回は観たこの映画。何度観ても泣ける。アメフト好きなら間違いなく感動するはず!
アメフト好きとして、私のお気に入りな点は、マイケルのポジションが題名でもあるブラインド・サイドであるところ。
※※※アメフトを全く知らない人には意味不明な文章が以下に続きます※※※
ブラインドサイドはOL(=5人でQBの前に並び、プレー開始と同時に突っ込んでくる相手ディフェンスから味方を守る壁になるポジション)の中の1つなのだが、そのOLは普段はスポットが当たりにくく、目立たない。
しかし、全ての攻撃はOLから始まる。QBがパスを投げられるのも、RBがボールを持って走れるのも、WRがパスをキャッチできるのも、全てはOLたちが死ぬ気でブロックしているから。そんな超超超重要なポジションなのだ。
でもナイスプレイが出た時に注目されるのはスキルポジションばかりで、ナイスブロックをしても誉められる機会は少ない。OLが相手ディフェンスを食い止めたからこそQBが落ち着いてパスを投げれたのに、ほとんどの声援は、WRへの「ナイスキャッチ」か、QBへの「ナイスパス」。むしろ相手ディフェンスにロスタックルをかまされたりしたら、OL何やってるんだと非難される辛い役回り。
そして、OLは一見ただぶつかっているだけの様に見えるけれど、単純なパワー勝負ではなくて、戦略・技術・チームプレイ等が噛み合わさらないと相手DLに勝てない非常に難しいポジション。
そんな、他のどのポジションよりも、個を殺しチームに捧ぐ姿を見せてくれるOLが大好き。
これからも、もっとOLにスポットがあてられる映画やドラマが出てきたらいいなと思う。そしてアメフトがもっと日本で人気になってほしい。
本の感想「アンネの日記」
○概要
オランダに住むユダヤ人少女アンネが綴った日記。
wwⅡの戦禍をこうむり、ユダヤ人政策のもと家族で身を隠した日々が綴られている。
戦争集結間近に結局アンネたち一家は拘束されてしまい、アンネの父以外は収容所で殺されてしまう。
この本は戦勝終了後、生き残ったアンネの父が娘の遺品を世に発表したものである。
○感想
教養として読んどかないと恥ずかしいかな、と思って手にとった本。ある程度ユダヤ人の歴史や特徴については、事前知識があったので、読み進めながら自分の持っている知識と照合することが多かった。
あくまで日記をそのまま本として出版したものなので、「歴史を学ぶ」という意味では冗長な部分が多いけれど、その冗長さも含めるからこそ、当時の社会情勢や人々の考え方等をリアルに感じられるのだと思う。
教養として読んでおいて正解だった。
本の感想「私の嫌いな10の言葉」
中島義道著
●概略
ドイツ哲学者である著者が、日本社会で圧倒的市民権を得ている10の言葉について、いかにその言葉を嫌っているかを一方的に語る本。
(以下本中で批判される言葉たち)
「相手の気持ちを考えろよ! 人間はひとりで生きてるんじゃない。こんな大事なことは、おまえのためを思って言ってるんだ。依怙地にならないで素直になれよ。相手に一度頭を下げれば済むじゃないか! 弁解するな。おまえが言い訳すると、みんなが厭な気分になるぞ」。
●感想
著者流のトンデモ理論(屁理屈)で、誰もが一日一度は言ったり聞いたりしているであろう言葉を徹底的に批判していく様が痛快。
この痛快さには2種類あって、1種類目は著者への共感。
特に小中高と接してきた先生方に感じてきた彼らの横暴さ、不遜な態度をいみじくも指摘しており、「よくぞ言ってくれた!」とスカッとした。
2種類目は、一方で私は大学の部活においては、正にこの本であげられていた言葉を用いて、暴力的に主張を通そうとしたり、他者を動かそうとしたりしていたため、「おっしゃる通りでございます…」と胸にグサグサ槍を刺された。
また、日本社会の事なかれ主義が「最大多数の最大幸福」的考えの下で機能する一方で、どれだけの個を殺しているのか。
このことを、私は公立小中高生活で(特に管理教育のメッカと言われる地域だから尚更)強く憤っていたけれど、もはや遠い記憶。中学くらいまでは憤然と怒っていけれど、だんだん年をとるにつれて、その憤りにかけるエネルギーを別のところで昇華した方がいいやと考え、事なかれ主義構成員の一員として、うまく振る舞うようになっていった。
その点中島さんは、孫がいてもおかしくない年齢で未だにここまで憤っているなんて、なんてエネルギッシュな方なんだと感嘆する。友達にいたらめちゃめちゃ疲れそうだけど…
丁度、家庭教師のバイトで中3の生徒から、受験校選択をめぐる先生とのやり取りを聞いて、自分の思春期の嫌な先生との記憶引き出されたりして、自分の子供が生まれたときは自主性を重んじる自由な校風の学校を選びたいなと思った。
本の感想「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」
・あらすじ
1960年、ソ連プラハのインターナショナル小学校に通う筆者マリの同級生、3人の学生時代と筆者が成人した後に彼女たちの現在に会いに行った時の描写がされるエッセイである。
3人の同級生はギリシャ人のリッツァ、ルーマニア人のアーニャ、ユーゴスラビア人のヤスミンカと出身も思想も様々なのだが、皆親が共産主義の活動家であり、特権階級もしくはそれに付随する上流階級の家柄ということは共通している。
彼女たちが、ソ連vs中国や、欧州内の対立、またボスニア・ヘルツェゴビナの紛争に代表される民族戦争等に巻き込まれる中で、どのように生きてきたのか。マリは彼女たちを人を伝って探しだし、積もりに積もった話をする中で感じ取っていく。彼女たちの生き様は、マリにとって受け入れ難いものもあり、一方で深く同情し悲しみにくれるものもある。
例えばアーニャは国を捨て、イギリスの階級社会に溶け込んだ(溶け込もうとしていた)が、マリにとっては、何故ルーマニアの特権階級の特権を享受し続け、そのおかげでイギリスに渡ることのできた身にも関わらず、祖国ルーマニアで未だ生活に貧窮する一般庶民たちに思いを馳せないのか、分からず反感を覚える姿が描かれている。また、そのような社会を主導する立場の特権階級のみが、社会と隔絶した裕福な暮らしをしているルーマニアの共産主義とは、如何なものか?悩み、その疑問を当人に伝えるも、アーニャと分かり合うことはできなかった。
一方で、ヤスミンカは紛争の真っ只中で生活し、人種差別によって職も変えざる得ない状況に置かれている。常に死の恐怖と隣合わせになりながら、家族との慎ましい生活に幸せを見出そうとしている。学生時代の聡明でイタズラっぽい瞳をしていたヤスミンカと今のヤスミンカの違いに打ちのめされるマリが描かれる。
・感想
ざっと読んでしまったので、この本は欧州に旅行行った時にでも、もう一度読み返そうと思う。
特に印象に残っている点は、彼女たちの母国への愛・執着である。
ギリシャがいかに美しい国なのか、一度もギリシャの空を見たことがないにも関わらず熱く語るリッツア。
「純粋なルーマニア人」であることに強いこだわりを見せるアーニャ。
学生時代からユーゴスラビア出身であることから周りの共産主義者から差別を受け、そのために校長と対立して自主退学してしまうヤスミンカ。
何故ここまで彼女たちの気持ちは強いのか、自分なりに考えた根拠は以下の通り。
・母国で暮らしておらず、更にインターナショナル小学校で様々な国籍の人と暮らす、という環境…自分のアイディンティティを確立するために、母国への関心が高まるのは必然?
・共産主義と資本主義が対立する社会情勢…日本は資本主義国家であり、基本的には日本と仲の良い国も資本主義なので、あまり共産主義思想に触れることがない。しかし冷戦終了までは共産主義と資本主義で世界の覇権争いが繰り広げられており、自分たちの立場について、「共産主義とは?良いところは?悪いところは?その上で私達の親や国が共産主義を肯定する根拠は??」等、考える機会が多かったのではないか?
・高度な教育を受けていたから…生徒たちは皆政治家や大使等の子息であり、先生も優秀な人達が教鞭を執っている。当然、教育のレベルも高度である。そういった高い知識・教養を持つ人間たちで構成される環境だったからこそ、小学生にも関わらず、自国への愛着心という高度な感情が醸成されたのではないか。
とつらつらと書いたけれど、実際に現地に行って、そこの人や空気に触れてみないと本当のところは分からない。こういう本を読むと、海外に旅行したくなるし、旅行に行った時の気付きが「楽しい」「綺麗」だけでなくて、もっともっと増えると思う。