映画の感想「アンディフィーテッド」
<あらすじ>
2011年、ある高校のアメフト部の1年を追ったドキュメンタリー。
創部以来14年間無勝利の、テネシー地区にある黒人ばかりのマナサス高校に赴任した、白人ヘッドコーチと部員たちをカメラが追う。
ビルコーチは6年前に赴任し、6年間家族のことを二の次にし、仕事も最小限に控え、アメフト部の監督に邁進し、部の立て直しをはかる。
治安の悪いこの地区では、「親戚に犯罪者がいない生徒」がいない。そんな環境で育った子どもたちに対し、アメフトの技術だけでなく、人間形成の場として徹底的に愛情を注ぎ教育していく姿が描かれる。
最終的にはこのチームはシーズン15勝1敗という奇跡の成績をあげ、プレーオフに進出。プレーオフでは惜しくも1点差で負けてしまう。
<感想>
こんな感動的なドラマが現実で起こったことなんて…
部員たちが、入部当初はどうしようもないダメな奴だったけれど、アメフトというスポーツと周りの仲間達、そしてコーチ陣に囲まれ、少しずつ自分を変えていき成長していく様が活き活きと描かれている。
高校生の成長ってすごい。本当に、1ヶ月で全然違う人に生まれ変わってしまう。
特に、ディフェンスチームのエース・マネーがリーグ終盤で怪我をしてしまい、戦線離脱し、絶望と疎外感にさいなまれ部活をやめようとしている時に、元々その子と仲悪くてならず者だったが、更生し試合で活躍できるようになった別の選手がチームのMVP賞をコーチから授かった場面には涙こぼれすぎた。
元ならずもの#35がMVP賞を受賞した理由は「試合での活躍」ではなく、「どうしようもない自分に向き合い、必死になって、自分を変えた」こと、というコーチのコメント。
そして、その後の#35の発言。
「一言みんなに言いたいことがある。…俺は、コーチと話す中で、チームのためだけでなく、他の周りの人のためにも頑張らないといけないんだってことを理解した。それは、例えば、いつも試合を見に来てくれていた母親であり、そしてマネーのことだ。マネーにはいつも何故か災難が振りかかるが、絶対にマネーはそれを乗り越える。俺は、MVPはマネーにこそふさわしいと思っている。」
本当に感動的な場面だった。
アメフトを知れば知るほど、こんなに人間形成の場として適当なスポーツって無いんじゃないかと思う。
一人ひとりが「チーム優先」「チームの為に」の確固たる信念のもと、自分の特技・長所を活かしてどうチームに貢献するかを考え、頭と身体を常にフル回転させるスポーツ。
これはアメフト好きにはたまらない映画だし、アメフトを知らない人も間違いなくアメフトを好きになる、そういう映画だと思う。