636の備忘録

備忘録 印象深い日々の出来事や、気付き等を記す

本の感想「新世界より」

 ○概要

貴志祐介

1,000年後の未来の地球を描いたSF小説。人々は呪力と呼ばれる超能力を保持し、その呪力を日々の生活や仕事に活用し、超能力と密着した生活を送っている。この世界の生物の中には1,000年後とは考えられないハイスピードで進化している生物が多く、中でも化けネズミと呼ばれる種は、ハダカデバネズミが人間ほどの大きさに巨大化・高度な知性を持っており、人間の召使として清掃等の労働に従事するほどである。

この世界は非常に平和で、人々の争いは発生せずに、教育レベルも高く、皆が幸せに暮らしている。物語の主人公・早季たちも平凡な子供として暮らしていたが、ある課外学習がきっかけで、偶然にこの世界がいかに不安定で残酷であるか、その一端を知ってしまう。

やがて引き起こされる世界の崩壊に、早季たちは子供ながら立ち向かってゆく…

 

○感想

かなり長い本で、文庫本で上中下の三部作。ハリーポッター1巻分くらい。普段SFは全く読まないが、あまりに面白くて一気読みしてしまった。戦闘シーンなどでは心臓がドキドキしたし、その日夜道を歩くのが非常に怖くなってしまった。それくらいハマった。著者の貴志さんはホラー小説家のようで、読者のハラハラドキドキを煽るのはお手の物なのだと思う。

SFといっても、宇宙船や地球外の惑星が出てくるわけではなく、まるでドラクエのモンスターのようにおかしな生物がたくさん出てくるくらいなので、ガンダム宇宙戦艦ヤマトを読んだこと無い私でもすんなり読み進めることができた。

また、物語の中核テーマとして、独裁主義と民主主義、自由と束縛、正義と悪等、今の私たちが暮らす社会が抱える倫理問題を射影し、読者に問いを投げかけるので、単純な娯楽小説よりも読んだ後の充実感が高い。

そして伏線の用意・回収が分かりやすくて読みやすいところもお気に入り。ささっと読み進めても十分話の展開についていけるし、小学生でもこの物語の魅力を味わえると思う。

ただ少々長すぎるというか、伏線っぽく書かれているのに結局回収されないままのエピソードがあったり、世界の設定の説明で冗長な部分があったりして、もう少し短くできたのではないかなと思う点はある。

全体としては本当に面白いので周りにぜひ薦めたいい小説。