^u^の備忘録

備忘録 印象深い日々の出来事や、気付き等を記す

本の感想「なぜ、「できる人」は「できる人」を育てられないのか?」

○概要

著者は吉田典生という方で、ビジネスリーダーへのコーチングや組織の継続的発展を促すコンサルに従事している。

この吉田さんが、自身の業務経験を通じて得た「(プレイヤーとして高い成果をあげる)できる人」が必ずしも「(マネジャーとして部下を育てる)できる上司」には成長しない理由、そしてこの課題を乗り越えるノウハウ がまとめらている。

 

この本に出合ったきっかけは、社会人1年目の友人に薦められたため。

その友人は少数精鋭のベンチャー企業に勤めており、「できる人」として上司に評価され他の同期新入社員たちのマネジメント業務さえも任されているのだが、マネジメントが上手くいかず悩んでおり、この本を手に取ったとのことだった。

 

私自身は、勤め先がいわゆる日系大手で「入社3年間は同期の人事評価は横並び」という環境にあり、マネジャーよりもプレイヤーとしての実務経験・成長が望まれる段階ではあるが、その後年次を重ねた際の人事評価ではマネジメント能力が実務能力よりも重く評価されていくようになることと

それに加えて、学生時代に部活のマネジメントで考えあぐね 納得いく成果を出してこれなかったので、この本を通じて「上司のマネジメント業務の観察・評価」と「部活でのマネジメント失敗の分析」をしたいと思って読んでみた。

 

○感想

作中に書いてあることは真新しいことでは無く、「相手(部下)の立場に立って考えることが大切である」ことが繰り返し説明されている。

 

本の主張の流れは

・「できる人」の思考回路と「できない人」の思考回路は大きく異なるので、部下の立場に立って考えているつもりでも、見当違いの教育になっていることが多い

・(特に日系の)企業は、人事評価において「マネジメント能力」を重く評価するので、自分と向き合ってこの課題を改善しないと「(プレイヤーとしての)できる人」は、あっという間に「(部下の育成が)できない人」として認定されてしまう

・さらに、IT等の変化が激しい業界においては、たとえ技術職であっても、ずっと「(プレイヤーとしての)できる人」で在り続けることは困難であり、後続の若手に抜かされてしまう可能性が非常に高い。事務系職種では尚更である

こういった流れである。

 

その中でこの本が参考になった点は、「できない上司」が何故人を育てられないのか?このまま「できない上司」のままでいると、キャリアにどう影響が出るのか?を、事細かに記述している点だった。この本を読んで現状が改善するかはその人次第だが、少なくとも自分を省みて、危機感を持たされることは間違いない。

 

 

本の感想「ハダカデバネズミー女王・兵隊・ふとん係」

○概要

ハダカデバネズミの生態が描かれている本。

珍妙な容貌のこのネズミは、外見だけでなく暮らし方も独特であり、1つの群れの中に女王・王様・兵隊・ふとん係と明確な階級が存在している。

著者はハダカデバネズミの研究者として、ハダカデバネズミを実際に飼育し、そこから得られた知見が紹介されている。

 

○感想

めちゃめちゃ面白い本だった。ハダカデバネズミの大きさはハムスター程度の小さな生物なのに関わらず、高度な社会体系を築いて生活していることに驚かされた。

哺乳類で唯一「真社会性」を持つ種であり、女王のみが子孫を残すことができる。「個」の遺伝子の生存よりも「種」の遺伝子の生存を重んじて行動するよう、プログラムされているなんて、感情を持つ生物には酷なシステムだなと思う。

また、階級が上の個体ほどより多くのストレスを感じているという研究結果も興味深かった。ハダカデバネズミの階級は後天的に決定されるものであり、個体の実力によって変動するのだが、立場が上になるほど悩みが多くなるとは、人間と似通っている。

人間の仕事も、非創造的で定型的な仕事は、報酬は少ないけれどその仕事を遂行することに対して掛かるストレスは軽いものが多い。一方で創造的で非定型的な仕事は、もらえる報酬は多いが、いろいろなスキル(ロジカルシンキングやコミュニケーション等)が求められるため、結果としてストレスの負荷も高くなる。

ちっぽけでグロテスクなこのネズミに共感する部分は、他にもいくつかあって、この本を通じてハダカデバネズミのことをもっと好きになった。

 

ここ一か月ほどは資格の本ばかり読んでいて、興味ある分野の読書が進んでいない…まだ社会一年目だから今は知識をためるべき時期で、読書よりも勉強を優先するのは当然だけど、時間の使い方を工夫して読書の時間を増やしたい。

本の感想「宇宙飛行士選抜試験」

○概要

NHKで放送された宇宙飛行士選抜試験ドキュメントを書籍化したもの。

最終試験まで残った応募者たちの、子供の頃から持ち続けた宇宙飛行士への想いを紹介し、彼らの半生や具体的な試験内容とともに、宇宙飛行士という人類の英雄に選ばれる人は、どのような基準で、どのような人物なのかが描かれる。

宇宙兄弟で取り上げられた試験内容・選抜基準等が多々登場するため、宇宙兄弟を読んだことある人は、都度ムッタやセリカさんを思い出しながら、わくわく読み進められる。

 

 

○感想

しばらく読書から離れていたけれど、夏休みに入って時間がたっぷりあったのと、上長からお薦めの本として貸していただいたので、読んでみた。

とても面白い本だった。

やはり読書は純粋に楽しいし、それだけでなく、登場人物に刺激されて新鮮な気持ちになったり、自分を省みるきっかけとなったりと、単純な楽しさだけでなく今後に活きるものを得られるな~と、改めて実感した。

 

この本では、人類のヒーローである宇宙飛行士に選ばれる人とは、どのような人物なのか?が最終試験まで残った一人ひとりにスポットを当てて描かれている。

だが、その宇宙飛行士に相応しい人物の条件というのは、宇宙飛行士に限らず、どんな職種においても、組織の中で活躍するために求められる普遍的なものだと感じた。

 

例えば、何か自分の特技・経験で業務で活かせること(=強み)を持っていることや、状況に応じてリーダーシップ・フォロワーシップどちらも対応できること、宇宙飛行士になる本当の覚悟を持っていること等…

自分の勤める会社、関わる業務、担うポジションに当てはめながら、私は甘いな~頑張らないとな~と再実感した。

 

 

本を読んで自分が得られた学びは、リーダーシップとフォロワーシップについてだった。

 

自分は会社において「新入社員だから」とか、「まだ知識が無いから」という理由でフォロワーシップさえ果たしていればいいだろう、と思って取り組んでいたけれど、それでは全く不十分だったなと反省した。

 

チームで活動する以上は、自分がリーダーシップをとるべき場面か?もしくはフォロワーシップをとるべきか?どうすればチームのパフォーマンスを上げられるか?という意識を持った上で行動する必要があるのだと感じた。

(この学びは、極当たり前のことで、今更気づいたのか…という情けなさも同時に感じた。大学の部活をしていた時には意識できていたことだけど、社会人になってからいつの間にか新人という肩書に甘えてしまっているな、と反省…。)

 

また、これから成長してから改めてこの本を読んだら、その時には別の学び・気づきがあると思うので

後々再度読んでみたい。

 

 

どんな仕事をしている人も共感できる内容で、マネージャー・新人どんな立場でも当てはまる内容で、かつ宇宙飛行士に興味ない人ってあまりいないと思うから

幅広い人におすすめした本だなと感じた。

本の感想「ヤバい統計学」

○概要

10の事例をもとに、統計学の考え方や実社会への活用方法、統計学の課題等を解説してくれている本。

5年前に教養のために統計学のことを知りたいと思い、本のタイトル「ヤバい」に惹かれて面白そうと買ったけれど、読み始めてみると特に「ヤバい」と感じる内容では無く、飽きて途中で読むのをやめてしまっていた本。

引っ越しを機に本を整理している中で久しぶりに目に留まったので、読み返してみた。

 

○感想

5年ぶりに読んでみて、やはり「ヤバい」とは思わなかった。

本の内容は、統計学の簡単な入門書の中のさらに取っ付きやすい部分を抜き出してくれたようなもので、面白くサクサク読みながら統計学とは何たるかを学べる本。

このタイトルって確かにキャッチーだけど、内容とのかい離が大きくてあまり相応しくないのではないかな…原題は「NUMBERS RULE YOUR WORLD」なのだし、原題に沿ったもう少し真面目なタイトルの方がよさそう。例えば「入門 身の回りで役立つ統計学」とか。

 

10の事例はすべて面白くて、日々の会話の中でこういった知識を織り交ぜながら話したいな~と思う。

特にディズニーランドと交通渋滞の事例から知った

「待ち時間を減らすためには、実際の物理的な時間削減だけではなく人が知覚する時間削減も考慮して取り組まなければ、実社会での効果はあげにくい」

という教訓はすごく共感して、例えばエレベーターの待ち時間はたった数十秒なのにイライラしてしまうけど、エレベーターホールに鏡があるだけで、前髪チェック等をしながら待ちを意識しなくなるという工夫にも、この教訓は活用されてるな~と思った。

友達と遊んでいるときやデートしている間に待ち時間が生じたとき、この教訓の話をして、

「じゃあしりとりでもして知覚待ち時間を減らしたら、あっという間だね」

みたいな会話ができればな~なんて思いながら読み進めた。

 

教養のための本としては非常に有用で面白かったのでほかの人にも是非薦めたい。

本の感想「私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな」

〇概要

40代独身バリキャリ女性の著者が、周りの未婚女性と話し合った結果出された「私たちはプロポーズされない理由101こ」を紹介する本。

今の自分は

「付き合っている彼と結婚したい、恋愛はもういいから身を落ち着けたい欲望」と、

「本配属先された部署で、ものすごい仕事を頑張っていきたい意志」が

混在していて悩むことがよくあるけれど、職場に女性社員はほぼいないし、唯一同じグループにいる女性社員は課長さんで気軽に話をできるでは無い。ロールモデルが見つからないので、この本を一つの女性の生き方として参考にしようと手に取った。

 

〇感想

書中で挙げられる101理由のうち、男友達からよく言われる「そんなんだとモテないよ」という指摘と合致するものが半分以上を占めていて、あいつの発言て一般的な男性目線をきちんと反映した内容だったんだな…と気づかされたのが一番の収穫だった。

これからはあいつの発言を素直に受け止めて、直せるところは意識して改善していこう。直せるところ、あんまり無いだろうけど。

 

 

 

wifiの調子が悪いため続きは今度

本の感想「戦後日本経済史」

 

●概要

☆本との出会い

ライフネット生命社長の岩瀬さんによる「社会人一年目の教科書」に、社会人の教養として読むべき一冊と推薦されており、ブックオフでたまたま見かけたので買ってみた。


☆著者
野口悠紀。
1964年に大蔵省に入省し、在職中にイエール大学で経済学の博士号を取得。
現在は経済学の分野で大学教授を務める。

 

☆論旨
高度経済成長、バブル崩壊、その後の日本経済のプレゼンス低下…
なぜ戦後の日本経済は一度隆盛を極め、現在は衰退してしまっているのか?
この本では、その原因を「WWⅡ中に構築された戦時経済体制」が
現在に至るまで日本をガチガチに固めているからだと主張している。

というのも、
一般的な見解では、戦時下の経済体制はGHQにより解体・改新されたと考えられているが
GHQの影響力は表面的なものに留まっており、根本の実態は変わらなかったのではないかと著書は考えている。

大蔵省で日本経済の中枢を内側から見た経験と
海外で経済学を学びグローバルな目線から日本経済を俯瞰した経験を
併せ持つ著者だからこそ、見えてくる視点で日本経済の未知の一面が描かれる。


●感想

すごい面白かった。

日本語の表現力が多彩で、
更に事実や分析だけでなく著者自身の心情も交えて記述されているため
決して小説ではないのに関わらず、登場人物に感情移入したり、自分がバブル時代に生まれていたら、どう生き延びただろうか?と想像をめぐらしたりと
教養が深まる面白さ+読み物としての純粋な面白さを同時に味わいながら読み進められた。

難しい用語はそんなに出てこず、また出てきた際には丁寧に解説されているので、高校である程度日本史を真面目に受けて、日ごろ新聞やニュースに目を通している人ならば、サクサク読めると思う。

また、以前読んでいた城山三郎の「官僚たちの夏」のモデルとなった人物と著者が通産省の面接で関わり合いがあったエピソードを発見したときには、点と点が繋がった嬉しさがあり静かに興奮してしまった。

 

以下に、特に印象的だった話題をあげておく。

・GHQの財閥解体の効力は大したことなかった説
…財閥の構成要素は1.同族経営 2.市場の寡占化 によるものであり、GHQによる財閥解体によって1.同族経営に関しては解消されたものの、銀行中心の間接金融の経済体制は戦前と変わらず、財閥のグループ企業による市場支配も継続され、2.市場の寡占化については戦後も引き継がれた。
さらに、財閥の同族経営解消は終戦前から三井系ではすでに実施された方策であった、具体的には、三井家と経営専門集団化には軋轢があり、三井財閥で実験を握った池田成彬は1936年までに三井高公以外の同族をすべて引退させ、「三井家はあらゆる事業から名前を没し、三井という名は社会公共事業や慈善事業といった方向にのみ用いればよい」とした。

このように、GHQの財閥解体は日本経済の本質の改変にまで迫れなかったし、同族経営解消はGHQがテコ入れしなくても、勝手に進んでいた流れだったと本では主張されている。

 

・GHQの公務員改革は語学力に左右された説
公職追放された軍以外の官僚は、内務省がほとんどで、大蔵省では総勢9名にとどまり、戦時中の人事がその後も連続した。というのも、占領軍が考えた当初の解体対象は内務省・大蔵省・文部省だったのだが、大蔵省は巧みな英語使いの折衝によって解体を免れ、一方で内務省は内政メインのため英語を使える人が少なく、交渉がうまくいかなかったのだと言う。
また、戦後異例の超スピードで軍需省からか名前を変えた商工省は解体のターゲットにもあげられなかったそう。

このエピソードの他にも、日本語と英語のあまりに大きな言語の壁により、官僚たちがいかに上手く立ち回りGHQの介入を回避していたかが描かれている。

私のイメージでは日本は敗戦国としてGHQに徹底的に改革されたんだと考えていた

けれど、この本では、言語の壁・思想の違い・官僚たちの折衝力によって、実態は戦時下の体制・信条がそのまま引き継がれていたのだと書かれており、非常に新鮮な視点だった。

 

田中角栄の人心掌握術
…著者の野口さんが大蔵省に入省した当時、大臣を務めていたのは後の総理大臣田中角栄だった。
その入省時の訓示で述べられた一言は「諸君の上司にはバカがいるかもしれん。意見を理解してもらえないときは、遠慮なく大臣室に賭けこめ。おれが聞いてやる。」であり、この挨拶を聞いて著者は一瞬で心をつかまれたと記述している。
当時の田中角栄は45歳で大蔵大臣に就任したが、これは史上最年少であり、真にカリスマ性のある人であったそう。日本列島改造計画により、まだ自動車など普及していなかった時代に、道路を日本中に整備した先見の明も称えられている。
こういった記述から、野口さんは田中角栄のことをよほど尊敬しているのだと感じられる。


…ここまでは、本の冒頭で語られた話題であり、高度経済成長やバブル経済等のディープな話題がのちに続いていく。
ただ、まだ自分の中に消化できていない部分が多いので、ひとまずはここで一旦備忘録は止めておく。

このまま放置すると本で読んだことを忘れてしまいそうなので、時間に余裕があればもう一度読み直して、「戦後日本経済史その2」を書きたい。

本の感想「いつまでもショパン」

●概要

中山七里著のクラシック音楽ミステリー。

ただ、ミステリーと言ってもこの物語の主題は謎解きや殺人ではなく、「ショパンの音楽の美しさ」、また「ショパンコンクールを通じて描かれる青年の成長」といったところがメインである。

音楽の描写が非常に美しいので、youtubeで実際に登場人物が奏でる音楽を聴きながら読み進めるとよりイメージが具体的になり楽しいのではないかと思う。

 

●感想

ショパコンに関する漫画はピアノの森以来だけれど、「ポーランドショパン」ってどんなショパンなのか、ますます気になる…。一度ワルシャワに行ってコンサートを聴きたいなあ…。

 

ストーリーは面白かったけれど、二度目読みたいとまでは思わないかな、という印象。

頭を使わずに読めるので、待ち時間の暇つぶし等にちょうどよさそう。新幹線の乗り口近くの本屋に置いてあったら適当だと思う。